3月16日(土)に新宿 K’s cinema 他全国順次公開される映画『ブルーイマジン』。
本作は、性暴力やDV、ハラスメント被害者のトラウマに寄り添い、救済するためのシェアハウス「ブルーイマジン」を舞台に、心に深い傷を負った女性たちの信念と連帯と葛藤のドラマを描いた青春群像劇となります。
そんなシェアハウス「ブルーイマジン」に駆け込む俳優志望の凛を演じたのは新谷ゆづみ。20歳を迎え、約10年というキャリアなどを振り返り、心境の変化などをお聞きしました。
20歳を迎えて〜成人式で友達と
ーーまず20歳を迎えた感想からおうかがいできますか？
私としては実感があまりないです。
ーー地元・和歌山での成人式にも行かれたんですよね？
高校1年生の時に上京してきたので、 同級生に会うのは中学3年生ぶりだったんです。みんな髪型もおしゃれになったり、それぞれ大人っぽくなっていて成長を感じました。
ーー同級生と会うのは何年ぶりに？
もう5年ぶりくらい？みんなは私が成人式に来るとも思っていなかったみたいでびっくりしていました（笑）
ーー久しぶりに会ってどんなお話をしたんですか？
みんなが何をしているかも知らなかったんですけど、働いてる子もいれば、大学に行ってる子もいたりして。それぞれ何を頑張ってるかとか、単純に元気だった？みたいなお話をしました。
ーー新谷さんの俳優業についてお話をされたりも？
みんな幼稚園から一緒の子たちばかりで、ずっと応援してくれているんですけど、気遣ってくれているのか、あまりお仕事のことは 学生時代から聞かれないんです。（学校を）休んでたら頑張ってるねって言ってくれたり、すごくみんな優しい子たちばかり。素敵な友達に恵まれてありがたいなって実感したお正月でもありました。
俳優としての変化
ーーお仕事の面で20歳を感じることはありますか？
最近、年の近い子が新しくヘアメイクさんやスタッフさんでいたりするんですよ。今までは、お父さん世代とか、やっぱり目上の方たちばかりだったんですけど、だんだんと、そういう年齢にも近づいてきてるなと感じます。
ーーリアルなところですよね。
この20歳という年齢が世間的にはちゃんと大人の仲間入りしてるんだ、と、じわじわ。
ーー現場に子役の方や年下の方がいらっしゃったら、お姉さんとして振る舞いますか？
なんとなくそういう風に振る舞ってはいるかも？
ーー性格的には妹でいる方が楽ですか？むしろお姉さんの方が合っているとか？
年上の方と仲良くなることが多いんですけど、年下の方と仲良くなる時は、私がお姉さんというわけじゃなくて、同級生みたいに思ってくれて仲良くなることが多いです。
ーー実際、新谷さんはキャリアも長くなってきますよね。
そう、10年？小学校4年からだから、9年とか、10年とか…でも、もう10年が経ってるのかってびっくりします。
ーー俳優というお仕事に進んでいくにあたって意識の変化も？
中学生の頃からずっと東京に通って生活していたんですが、その時の方が大人だったなって思います。最近、子供帰りしてる感覚がすごくて、以前はこう言われたから、これを完璧にしていかないといけない、みたいな。大人になろうと頑張ってる自分がとても強かった気がするんですけど、 20歳を超えた今の方が、ありのままでいられる気がして、大人になる意識というよりは逆に自然になっています。
ーーいい感じに硬さも解けていく感じ？
が、するかなって思います。
ーー高校生の頃はさくら学院（新谷が中学生まで所属していたガールズユニット）から1人になっていくプレッシャーもありましたか？
そういう感覚があんまりいい方向に進んでない気がしたので、考えすぎはあまり良くないなって思いました。
ーー演技へのスタンスは何か変わりましたか？事前準備の段階の変化とか。
すごく用意はしたいタイプなんですけど、「用意しなきゃ」ってなるんじゃなくて、今はそれが習慣になっているというか。だんだんルーティーンになってきてる気がします。頑張らなきゃって思わなくても、多分どこか思ってる感じ。
ーー先日はカレンダーも発売して、発売記念イベントもありましたよね。ファンの方に嬉しい言葉ももらったり？
それはもうたくさんもらいました（笑）長年応援してくださってる方がイベントにも足を運んでくださっていて、作品や演技というより、「映画が公開されて劇場に行くことがいつも幸せ」って言ってもらったのが、なんだか単純にすごく嬉しかったです。
ーーシンプルですけど、暖かい言葉。
あとは私が出てるという理由で作品を観て、「こういう世界もあるんだと知れました」、みたいな言葉は、やっぱり嬉しいです。きっかけになれたんだなっていう。
普段の姿は？「これ、本当の話なんですけど料理を。」
ーーここからは普段の新谷さんについてもお聞きしたいんですが。
最近は、これ本当の話なんですけど料理を。
ーーお、料理ですか。
今まで料理できるようになりたいです。みたいなことは取材で話しているわりに、結局全然やってなかったんですけど、最近ようやくちゃんと作るようになりました！
ーーきっかけは何だったんですか？
やってみたいと思うことを実現させる年にしたいと思って、始めてみたら意外と楽しくて。母親の気持ちがすごく分かるようになりました。
ーー（笑）
これを冷凍したらどれだけ日持ちするとか、そういう知識などがもう全部（笑）それで母親から伝授してもらい、わからないことがあったらすぐ電話をかけてます。唐揚げの作り方とか。
ーー揚げ物もやるんですね。
揚げる日々です。揚げ物頑張ってます。
ーー（笑）これは上手くできたと言える料理はありますか？
最近はエビチリと揚げ出し豆腐です。
ーー意外なメニューですね。ほかにも趣味などありますか？
実を言うと、休日は山と海にずっといたいんです。でも、免許を持っていないので、中々行けなくて。あ、でも電動自転車でぐるぐる都内を回ってます（笑）この前は、オーディションにもそれで向かいました。
映画『ブルーイマジン』について
ーー最後に映画『ブルーイマジン』についてもおうかがいしたいんですが、俳優志望の凛を演じた感想について教えてください。
役者として一生懸命夢に向かっている子で、 その過程で性被害を受けてしまったという役なんですが、身近にそういう話があってもおかしくはないので、なんだか怖かった、というのが正直な感想です。色んな方のお話を聞くことも勉強だから、会いにいったりすることもありますよね。こちらからは希望に見えていたことが、向こうからしたら、 ただ搾取するためだったのが、すごく悲しいです。
ーー凛を演じてみて、被害に合わないためにできることは何だと思いますか？
例えばマネージャーさんとか、相談できる場所があると良いと思います。食事会に行っても、こういう人とこういうことがあって役のお話いただいたって誰かに伝えておくとか、 自分1人の中で抱え込まなくてもいいですし、近くの人に言うことがすごく大事だと思います。
ーー映画『ブルーイマジン』をご覧になられての感想も教えていただけますか？
声を出すことはなかなかしんどいけれど、でも、それがないと やっぱり何も始まらないというか。ただ、自分の中で どうにか完結して終わったって思っても、でもやっぱりいつか思い出しちゃうタイミングがくると思うし、それも含めて、この映画が自分の気持ちを、誰かに打ち明けられるきっかけになれたらいいなって、すごく思いました。
ーーこの映画はどういう方に見てもらいたいと思いますか？
同年代の方とか。うん、みんなに届けばいいなと思います。
映画『ブルーイマジン』は、3月16日(土)に新宿 K’s cinema 他全国順次公開。
監督は、俳優として主演映画『飢えたライオン』（2017年）がロッテルダム国際映画祭、東京国際映画祭などで上映され、映画界のセクシャルハラスメントに立ち向かう長編オムニバス映画『蒲田前奏曲』（2020年）では初プロデュース兼出演を務めた松林麗(俳優名：松林うらら)がつとめ、自らの信念を行動に移す主人公・斉藤乃愛(のえる)を山口まゆ、乃愛の親友でミュージシャン志望の佳代を川床明日香がつとめます。
写真・文：なんぶひとし
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